Eichin’s blog

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映画「グラン トリノ」を観て

映画「グラン トリノ」はご存知でしょうか?

 

生ける伝説、クリント・イーストウッドが主演、監督を務めたある元軍人の男の生き様を描いた作品です。

 

主人公、コワルスキーは妻に先立たれ、頑固で意固地な性格から家族にも疎ましく思われ、本当に心の許せる存在は愛犬のデイジーのみという孤独な爺さんでした。

 

ですが、庭の手入れは毎日必ず丁寧に行い、部屋もかなり綺麗に保っています。自動車会社「フォード」に50年勤め上げたこともあって、ガレージにはおびただしい数の工具類が壁に並べられ、まるで博物館のよう。

 

そしてなんといっても愛車のグラントリノが美しい。男なら誰がみても見惚れてしまうその緑の輝きは爺さんが毎日丁寧に磨いてる証拠。こだわり抜いた宝物です。

 

人に愛されなくとも、ものを愛し、そしてものにこだわり、それを維持し続ける。男の孤独と神秘性と誇りが序盤30分で見せつけられ、すぐに引き込まれてしまった。そして思った。かっこいい、と。

 

爺さんはプライドが高く、寄り難い雰囲気を出しているのだが、それにもちゃんと理由がありました。朝鮮戦争を経験し、前線で戦い抜いた、生粋の元軍人なのです。仲間を殺され、そして敵を屠ってきた。だから誰よりも生と死について理解している。何人も自らの手で殺めてきたことを認め、その責任を背負って生きていく。何人も殺しておいて、呑気に楽しく暮らすなんてことができないのは当然でしょう。

 

かくして、誇り高き一匹狼は誕生したのでした。作中では爺さんの息子が2人出てくるんですが、どちらも爺さんのことを理解せずしようともしない饅頭野郎でした。

息子たちが爺さんに高齢者向けの商品やサービスを紹介するシーンがあったのですが、これにはむかつきました。

 

私にこのような祖父がいたら、物凄く尊敬します。でも実際にこんな祖父がいたらどう接すればいいのかな?愛車に乗ってドライブかな?VRを使ったドライブシミュレーションゲームは?

 

実は、私にも似たような爺ちゃんがいます。戦争は経験してませんが、自動車修理会社を経営していましたが、本人が50過ぎに脳梗塞で倒れてしまい、最悪の事態は免れましたが、全身に後遺症が残ったまま、毎日必死に暮らしています。病院が嫌いで、老人扱いを受けることも嫌だから、老人施設にも行かない。

 

一方、私が会いにいくと昔の武勇伝を度々話してくれます。車に釣り、ボートに料理に酒に女に警察沙汰に、数々のエピソードを盛ってね?って思うくらい豪快に、声を荒げて。。そして何度も聞かされます。

いつも明るく弱音は決して吐かない強い爺ちゃんです。でも最近様子がおかしい。痩せてきたし、元気がなくなってきたように感じる。この映画を観て私も爺ちゃんに何かしてあげたいな、と思いました。まさに、車で俺が運転して、首都高でもドライブしてあげたい。

 

最後に、ものにこだわり、人に優しく、強く、かっこいい作中の爺さんみたいに、私はなりたいと思いました。